冷たい世界の温かい者達





「おう!最近倉庫来てなかったよな?



何かあったのか?」



成一が軽くそう聞くと、2人は困ったように眉を下げた。




「いやぁ、最近由薇の説得とか色々ありまして……」




「由薇?」



千尋がその単語に過剰に反応した。



「え?由薇もう知ってんすか?」


不思議そうにする千尋に目を瞬かせながら俺等に聞いた。





「さっきからその単語が嫌でも耳に入ってくるんだよ」




衣緒が不機嫌そうにそう言ったのを見ると、澄ました態度が気に食わなかったらしい。




「由薇はいい奴っすから。


ちゃんと向き合ってやって下さい」





「………?


お前等も、その由薇が大切なのか?」





影助は不思議そうに眉を寄せながら2人に聞くと、2人は「はい。」と即答した。





それに唖然とすると、2人は慌てたように言葉を繋げた。





「いや、何と言うか…その、この学校、ほぼ由薇が関係しているというか…」




「…あいつは権力振りかざしてんのか?」



俺がそう聞くと、2人はまたも慌てた。




「いや、違うんすよ!


教師とか転入生とか、時々腐った奴来るんですよ。



それで、大体由薇がヤダっつったら、当たるんですよ。



だから、理事長とも知り合いの由薇は履歴書などを見て認めるらしいです。」




らしい。と少し曖昧に答えた2人に「そうか、」と影助は考え深そうに顎に手を置いた。





「………まぁ、様子見かな。



てか、アイツの情報は?入った?」




「………いえ、すみません」




少し目を泳がせた明に変わって、至って冷静に浩がそう告げた。



「………そう。


これからも俺等も動くけど、頼むね」



「はい」


「ぁ、はい!」




2人の返事を聞いて、俺達は色々な事を考えながら屋上に向かった。