大人2人の乗って来た車は2つ。
裕樹さんが柚紀を乗せたシルバーの車に乗って「じゃぁね、由薇。 亜騎、セクハラしないんだよ」としっかり釘を刺して去って行った。
案外、悲しくも、呆気なく終わったように思える別れは、柚紀の態度があっさりとしていたからだろうか。
『………』
黙って車の去った方向に目を向け続ける由薇は、俺の視線に気づいた様に横目にこちらを見た。
『朔、何?』
「………別に」
違和こそあるものの、それをどうこう言うつもりもない。
由薇は、気を取り直したように亜騎さんに目を向けた。
『んで、ジジィ、何の用だ』
「ん? ついでだし、ほ………実家に送り届けてやろうかと思ってな」
顔はワイルドで大人っぽいのに、言動と行動のせいで、由薇の言うように全てがオッさんに見えてきてしまう。
『……なら、朔達が…』
「あ、俺達寛晃居るから大丈夫だよ?」
そう言った千尋に由薇は申し訳なさそうに眉を下げた。
『悪い……、また今度な』
そう言った由薇は、亜騎さんの運転する車に乗って裕樹さん達の様に去っていった。

