「誰がオッさんだ」
そう言った亜騎さんは無造作にセットされた髪をわしゃわしゃと掻いた。
「由薇、緊急だが親父さんから連絡があって、今日戻って来いってさ。
実家に」
何の気もなさそうに言った亜騎さんに由薇は『そう』と軽く応えた。
『………柚紀、』
また柚紀の頭に手をポンっと置いた由薇は笑った。
『また、会いに行く。
絶対、くじけんな』
くしゃっとかき回すように頭を撫でた由薇は、涙を隠すように俯いた。
「………うん。
バイバイ!」
妙に大人びた表情を残した、柚紀の言葉。
あの時、由薇の言った「またね」ではなく、「バイバイ」と言ったのは
なぜ、なんだろう。

