「由薇っ」
ドスッと音がしそうなほどの早さで由薇に抱きついた小さな影。
そう、柚紀。
『起きた?』
「ちょっと前にな。
俺のこと見て泣きそうになられて焦ったわマジ」
『………悪い』
苦笑を零した由薇に志織さんは笑って伸びをした。
「つーか、親父もうアメリカ戻んのか?」
「あぁ……やっぱり日本はいいね」
どこかの旅人のようなことを言いながら笑った啓さんは傍にあったスーツケースを持った。
「また今度帰ってくるよ。
秀一にも会いたいし」
『うん、いつでも来てよ』
啓さんはニッコリと笑って部屋を出て行った。
『……夏休みを明けたら、柚紀は啓さんの姉妹校の木暮学園に入ろうか?』
木暮学園とは何と、幼稚園生から大学生までのエスカレーター式の学園らしい。
まぁ、オイシイ話だ。

