いつの間にか、何処かわからない暗くて汚い道に居た。
走る体力ももう残ってなくてその場にしゃがみこんでまた、ボロボロと涙を零した。
降ってくる雨が体を冷やして、寒かった。
だけど、今こんな状況で何をどうすることは出来なかった。
『クソガキ、殺してほしいのか』
突然降ってきた言葉にバッと顔を上げる。
さっきの綺麗な女の人だった。
紅と蒼の瞳は深く、透き通るような綺麗な色を宿していた。
『………私が怖いか?』
ポツリと零された言葉に、俯きかけていた顔が自然に持ち上がった。
女の人の顔は悲しげに………儚い表情をしていた。
どうしようもない罪悪感に苛まれて女の人の頬に手を当てると、
「………あった、かい」
とても、温かかった。
『……今のお前の体温が低すぎるだけだ』
溜息を吐いた人は俺を見て小さく笑った。
『私は由薇。
お前の名は?』
本当は、笠原。
笠原 柚紀。
だけど、何もかも忘れてしまいたいんだ。
「………柚紀」
『そうか。
………少しは、話せるか?』
「………うん」
由薇は、俺をおんぶして車に乗った。

