『……』
ジッと視線を感じて、俺達を見ているのだとわかった。
だがその視線はすぐに外されて秋谷にそそがれた。
『サボり』
「おー、行ってら。
こいつ等転入生な」
『朝会ってるでしょ』
淡々と会話をするわりには親しみの込められた温かい声だった。
……似てる、んだよな。
「11:45には終わらせる」
『わかった』
主語の無い会話でも成立するこいつ等の脳ミソを覗いてみたい。
あの地味女が去った方向をジッとみていると、影助が俺の顔を不思議そうに覗き込んだ。
その顔になんでもない、と首を振ると同時に教室への扉が開かれた。
「秋谷ー由薇屋上行ったー」
「見たからわかってるよ」
「トランプしそびれたー」
「もっと違う遊びあるだろ…」
その会話に驚いた。
地味女なのに、こんな不良達に親しみさえ持たれているんだから。

