ウシロスガタ 【完】

「てか、さと寝てねぇ~んだろ?明日海だぜ?」



そんな言葉で長い沈黙を
ブチ壊したのは中西だった



「だなぁ…しかも俺、運転だしよ」




「寝とけ、寝とけ!」



そう言うと俺の背中を叩いた



「…………」




「なんだよ?元気ねぇな」



「駄目かな…やっぱよ」




「なにがだよ?」




「飲み屋の女。俺も騙されるのかな……」




「そんなん分からねぇだろ?俺だって、その女見た事も話した事もねぇし……」



「……その女じゃねぇよ!冷夏っ!!」




「あっ……冷夏チャンね!」




「冷夏はそんな奴じゃねぇよ……」




「じゃ、確かめろよ?
簡単な事じゃねぇかよ…」


「なにが?」




「お前をただの客として
見てるなら店に誘ってくるだろうし、営業してくるだろ?」




「なるほどね……」




「まだ始まったばかりだろーよ!そんな顔してんなよ!!」




「あぁ……。とりあえず
俺、今日は帰って寝るわ」



「そーしろ!明日六時だからな!」




「じゃあな……!」




俺は鳴らない携帯を握りしめて駐車場に向かった