真夏の残骸


「…ずっとちかのことが好きだった。あの日のキスは、俺の言えなかった恋心だったんだよ」


小学生が何言ってるんだって感じだけどね。

きりのくんはそう言って笑ったけど、わたしは笑えなかった。

…笑うことも忘れて、ただ、嬉しかった。

あれはままごとなんかじゃなかったんだ。

きりのくんなりの告白だったんだ。

わたしのこと好きだって、思ってくれていたんだ。

さっきとは違う意味で涙が零れた。


きりのくん。きりのくん。きりのくん。


ずっと、聞きたかったよ。

わたしを縛り付けていたものが、ほろほろと夏の夜に溶けていく。


蝉の音はもう聞こえない。

鬼の声もどこかに消えた。


今わたしを縛るのは、この優しい腕だけだ。