真夏の残骸


わたしの首筋に顔を埋めるようにきりのくんが動いた。

ふわりと柔らかい髪の毛がくすぐって、思わず身を捩る。


「俺が変われたのは……ちかのお陰だよ」


首を捻りたくても、しっかりと抱きしめられていてそれは叶わない。

きりのくんがどんな表情なのか見たいのに。

それを拒むように腕の力が強まった。


「俺の代わりにちかが泣いてくれたこと、本当に嬉しかった…」


きりのくんは泣いていた。

涙は流していないかもしれない。

だけど、きりのくんの心が、泣いていた。

わたしの涙腺もついに限界を迎えて涙が頬を伝い落ちる。

……わたしは、きりのくんの幸せに、関われたのかな。

ただ10年近く想っていただけじゃなかった。

あの日、わたしはきりのくんと確かに近付けたんだ。