わたしがずっとずっと、見たかったもの。
今日、目の前で何度もわたしに見せてくれていたんだね。
夢心地のまま、きりのくんがわたしを後ろからそっと抱き寄せる。
そのどこかぎこちない仕草が可愛くて、愛しかった。
背中に伝う温度と鼓動がこれは現実だと教えてくれる。
「ねえ、きりのくん……あいたかっ、たよ…」
我慢できずに嗚咽が零れる。
後ろから抱きしめる彼の身体がとても熱い。
苦しくて、だけど、嬉しくて。
どうしてわたしを抱きしめるの、なんて疑問すら浮かんでこなかった。
なんでもいい。
どうでもいい。
今、きりのくんが、わたしの前にいてくれることが、全てだった。

