なんかもう自分のことがよく解らない。
でもそろそろ戻らなきゃ…。
暗い気持ちを振り払うようにぷるぷると少し頭を振って、両頬を軽く叩いた。
…いい加減、きりのくんのことを忘れるべきなのかもしれない。
暗い感情が胸の内を占めて苦しい。
それを断ち切るようにお母さんの明るい声が脳裏に蘇った。
今日は良い機会だと思って他のひとに目を向けてみようかな。
例えば……蓮崎くん、とか。
「(…いやいや、さすがに調子乗りすぎだよね)」
何食わぬ顔でテーブルに戻ると蓮崎くんが3杯目の生をおかわりしているところだった。
見た目にそぐわず、意外と酒飲みなんだ。
とはいえわたしもすぐにグラスを空けるので人の事は言えない。

