「…きりのくんはなつやすみ、どこかいく?」 何の気なしに訊いた話だった。 わたしも家族で北海道に行くと決まっていたから、きりのくんにも訊いただけ。 本当に、それだけだった。 「……………うん、いくよ」 きりのくんはいつの間にか俯いていた。 横に並んで体操座りをしていたから、気付くのが遅くなった。 俯いている彼の表情は全く読めない。 「どこにいくの?わたしはほっかいどうにいくんだよ」 「………どっか、とおいとこ」