私は一つ思った事がある。
和哉と私は"好き"と伝える事ができても
拓馬は未奈にもう"好き"と伝える事が出来ない。
宇宙が引き裂いた、いや人間が引き裂いた一つの恋。
伝える事の出来ない気持ちを拓馬は一体どうしているのだろう。
「和哉…拓真は未奈に好きって言えないんだよね…」
「あぁそうだな。」
「そんなの苦しいよね。」
「あぁ苦しい。」
「未奈も…まだ伝えてないのに…」
「今はこの話はやめよう。」
「うん…」
和哉は私の事を思って言ってくれた。
でも友達として、親友として、心配なのは確か。
和哉もきっとそう。表に出してないだけで。
「おーーーーーーーーーーい!お前ら先に行くなよ!ってどうした?」
「なんでもないよ拓真。」
「あるだろ。ちゃんと言え。俺が関わってるんだろ?」
「うん。」
「拓真。花梨の事も考えてくれ。」
和哉は私の事を本当に思ってくれている。
「和哉。大丈夫。ちゃんと伝えないと拓真も未奈もきっと嫌な気分になるから。」
「そうか。」
和哉は納得してくれた。あとは拓真の気持ちを聞くだけ。
「拓真は自分の気持ちを好きな人に伝えられないのは苦しいよね?」
「いや別に…」
「本当に?今ここにいる人、生きてる人なら言葉で伝えられる。でもいない人には言葉だろうが心だろうが伝えられない。苦しいのに我慢するのは伝えられないからじゃないの?」
「お前に何がわかる。俺だって伝えたいよ!でもどうしようもないだろう。」
「じゃあ少しは私たちを頼ってよ!男だからって我慢するとかそんなの間違いだよ!未奈だって苦しいの。だから私に手紙を託して行ったの。実は、未奈が行く前に「拓真がもしうちがいなくてさみしそうだったらこれをわたして?だけど、拓真が花梨や和哉に相談した時だけ。」
そう言って私に託したの。なんでかわかる?」