《side 美愛》 ───この世界は、なんて残酷なんだろう 「ん?なんか言った?」 腕を組み夜の街を一緒に歩く男。 名前も知らず今までたったの一度も会ったことはない。 「なんでもないよ。」 目を閉じれば思い出す。 永遠に愛する彼の顔。 でも、それは……やっぱり罪悪感に押し潰され、胸は張り裂けそうになる 「ここでいい?」 「あなたが奢ってくれるならどこでもいいよ。」 「ははっ、ちゃっかりしてるな。」 目の前にあるのは……何度も行き慣れた決して高くはないホテル。