俺様ヤンキーに初恋を捧ぐ

【杏side】

間もなくして、先生が病室に入ってきた。

耳の聴力検査をするという事で、

看護師さんが押す車いすに乗せられ、

検査室へ。

…私は、お父さんと、龍にウソをついていた。



「…杏ちゃん、君の右耳は」

そう言って顔を歪めた先生。


「…当たり」

私は笑顔でそう言った。


…そう、右耳はもう、完全に聞こえなくなっていた。

そして、


「左耳も、そろそろ限界なんじゃないのかな?」

私の両手を優しく握った先生。


「・・・・フフ。

それも当たり。…ほとんど聞こえてないよ。

かろうじて聞こえてるだけ…

だから、みんなの唇を見て、何の話をしてるか

聞き取ってる・・・」

そう言った私は、力なく笑った。



「…お父さんには言わなくちゃいけないよ」

先生は諭すようにそう言った。


「・・・わかってる。

家に帰ったら、全部話す・・・」