「だ、大丈夫なの!?」
目を覚ますと母親が、心配そうに僕を覗き込んでいた。
朝だ。
やはり今のは夢だったんだ。
良かった……。
ホラー映画にあるように、それが夢ではなく、実は現実で、靴やズボンに血や泥がついていたりすることもなかった。
「どうしたの、すごい汗だけど? 唸り声も出してたし……。お母さん、ナースコール寸前だったのよ?」
母親が、心配そうに僕の顔を覗き込んでいる。
僕は額の汗を手の甲で拭い、母親に答える。
「ああ……夢を見たんだ。すごく怖い夢……」
「そうなの……」
「うん、もう大丈夫。夢だとわかったら安心した。たぶん、環境が変わったから夢を見たんだと思う。オレ、昔からそうなんだよね」
「…………」
僕がそう言うと、母親は黙り込んでしまった。
どうしたのだろうか。


