「ちょっと違うな。それじゃあいくら飲ませても、朦朧とするのがオチだ。昏睡状態にはならない」
『ほう……。昏睡状態にさせられるほどのことをオレがしたと?』
そう『声』が言った瞬間、倉田さんの目は、さらに爬虫類のように気味悪くつり上がった。
そして、先程より低い声でこう言う。
「あかねに近づくからだ」
『あかね……ああ、なるほどな。断る。あれはオレに気がある。お前とは別れさせる』
「無理だな。あかねには私から逃げられない理由がある」
『そういうとこだろうな。まあ、いいや。代償だけ払え』
「代償? ははは……強請るのか? 尿検査しても証拠なんて出ないぞ」
「いいや……」


