「びっくりしたよ! まさか動けるとはね!」 (動ける? どういうことだ?) 『ああ、あんたが一服盛ってくれたお陰で、オレはこうして出てこられた。感謝してるよ』 「はあ? なに言ってるんだ? 薬の副作用か? 調べて見るのもおもしろい」 『ところでなあ、どうしてオレに薬を飲ませた。あれは……トリアゾラムあたりか?』 僕は『声』と倉田さんのやり取りを、ただ、見ているしかなかった。 薬、トリアゾラム、僕の生活には関係のないものたち。 二人は何の話をしているのだろうか。