「はい」
スピーカー越しに、男の声が聞こえてくる。
やはり知らない声だ。
『相田です。相田サトシです』
また、僕の意識とは違う部分が動く。
だが、話しているのは紛れもなく僕で、発した音も、紛れもなく僕の声だった。
(おい! 話してんのはお前だろ!? 何してんだ? これは誰なんだ?)
僕の問いかけに『声』は答えない。
さっきから、僕ではなく『声』が話している。
僕の意思とは関係なく、『声』が表に出ている。
僕が頭の中に追いやられているんだ。
どういうことだろうか。
どうしてこうなったのだろうか。
やっぱり、これは夢なのか。


