年増の看護師が仕事を終えて出て行くと、『声』が僕に話しかけてきた。


『おい、上手えじゃねえか。あのブタ、お前の話、ゴタゴタしてるお家の話を聞けるってみたいで興奮してたぞ』

(で、聞いたけど、どうするんだ?)

『まあ、聞いてて損はねえって思っただけだ』

(それだけ……?)

『…………』


『声』は答えることなく消えてしまった。