僕は火の粉を払いながら、コンクリートの縁を進む。
何度も熱風に煽られ、バランスを崩しそうになる。
中央に戻りたいが、火はそこまで来ている。
それに、ここから元いた場所へ戻ることが出来れば、警戒する方向は正面と右側面に限定出来ると思ったからだ。
背中が熱い。
腕も熱い。
もう自然にジャージから発火してもおかしくないのかも知れない。
煙にむせる。
咳き込んだ拍子に煙を吸い、更に激しく咳き込む。
目を守るための涙も止めどなく流れ、それが逆に僕の視界を奪って行く。
もうダメだ。
ここにはいられない。
馬場先生の攻撃を受ける前に、ここで焼け死んでしまう。
僕はそう決断し、燃え盛る炎が少ない場所を選んで駆けだした。


