僕は仕方なく、来た時と同じように木々を掻き分けながら、コンクリートの壁伝いに歩く。 煙も、もうここまで来ていた。 涙でかすむ目を擦りながら、先を急いだ。 ようやく開けた場所に出る。 だが、先には進めない。 いや、進むことは出来るのかもしれない。 生きて帰れることはないとしても。 何故なら、行き着いた先は、今度は垂直に落ちるコンクリートだった。 遥か下に道路が見える。 もう熱気はそこまで来ている。 僕には、正面へ出るしか、残された道はなかった。