「お前は無事なのか?」
そう言いながら僕を見るその目は、僕の無事を見て、安堵してくれてると言うより、なぜか残念がっているように感じた。
「合瀬……何してたんだ?」
合瀬が振り下ろしていた棒が気になる。
何か危険なものを感じる。
僕は直ぐに対処できる姿勢を考えながら、合瀬にそう問いかけた。
「ああ……介錯だよ」
合瀬は薄く笑いながらそう返す。
「介錯……?」
「ああ、どうせ助からない。だったら早く楽になったほうがいいだろ?」
「なっ! ……バ、バカな……」
「お前だって思ってただろう? 助からないって。だからあそこで無様に見て見ぬふり、聞こえないふりしてたんだろ?」
僕は合瀬に何も返すことが出来なかった。
倫理観からすれば、合瀬のしたことはとても褒められたことではない。
だが、合瀬が言うように、僕は見て見ぬふり、聞こえないふりをしていた。
自分の殻に閉じこもり、見たことすら消そうとしていた。


