「だ、大丈夫?」
その女子は僕の声に呻き声で返す。
ざっと全身を見渡すと、外傷はないようだった。
だが、次第に目に涙を溜めると、ごぼごぼと白い泡を吹き出し、やがてそれが赤色に変わった時、涙を流しながら動かなくなってしまった。
「み、水……」
「痛い! 痛い!」
「熱いよう……」
僕の目の前で女子が動かなくなったのが合図だったかのように、あちこちから苦しそうな声が幾つも聞こえる。
だが、僕にはどうすることも出来ない。
傷の手当てをすることも出来ないし、水も持っていない。
急にさっき僕に覆い被さっていた原田の顔を思い出す。
その途端、ものすごい勢いで、僕の体を嘔吐感が迫り上がる。
僕はみどりの弁当を全部戻した。


