マーブル色の太陽


バスが、今度は蛇行を始める。

ジュースの空き缶やスナック菓子の袋が、後ろや前の席から床を滑って来る。

この激しい揺れの原因が、さきほどから聞こえてくる大きな音と、横から来る、物凄い衝撃から来るものだということはわかっているが、江口さんを守る僕には、確認する術がない。

ここから離れることが出来ない。



顔だけを上げる。

窓の外を過ぎ去っていく木々の影に、バスがかなりの速度を出していることを知る。

その窓に、黒いオイルの様な液体が付着し、気味の悪い模様を作り出していた。



運転手もそれに気づいている。

きっと乗車口からそれが見えたのだろう。

こう呟いていた。