「とにかく行って来るね」


僕は抑揚を抑え、呟くように言った。


「送ってくよ……」


父親は、既に車のキーを握っていた。


「ありがとう」


僕はとりあえず修学旅行の準備をし、父親の車に乗った。



道中、横の父親を見ると、何度も喉仏を上下させていた。

きっと、聞きたいことがあるのに、どう切り出せばいいのかわからないでいるのだろう。



特に仲が良い親子ではなかった。

でも、特に仲の悪い親子でもなかった。

必要な事は話すし、親に対して反抗的な態度も取ったこともあまり記憶にない。

それでも、学校から告げられたことは、両親の想像を遙かに超えていたのだろう。

心配を掛けて、本当に悪いと思っている。