マーブル色の太陽


僕は江口さんのその沈黙を利用して、下の様子を覗う。

どちらかが上手く受け流しているのか、それとも暗闇で見えないためか、時折、アスファルトを叩くような音が聞こえて来ている。


「嘘だよ。冗談」

「見せても……いいよ?」

「冗談だよ! それよりお菓子は?」


僕は軽くあしらう。

江口さんは傷ついた声を出したが、結局、新発売の、いちごペーストを挟んだ、クッキーの名前を教えてくれた。

まあ、僕にとってはどうでもいいのだが。


「うおおおおおおお」


坂木と思われる声が聞こえた。

その声が合図だったかのように、金属同士の音の中に、なにかを詰めた袋を叩くような音、乾いた木が割れるような音が混ざり始める。

その音は、生理的に嫌悪感を覚えさせるものだった。

そして、袋が破れたのか、次第にビチャビチャと水音のような音も混ざり始めていた。