「やーい! やーい!」

僕はその声を、空き地の泥を吐き出しながら聞いていた。

何度も何度も吐き出すのだが、口の中にはいつまでも、じゃりじゃりとした砂の、嫌な感覚が残る。

小学校低学年の頃だ。

忘れていた記憶。

忘れたかった記憶。