ふと気づくと、合瀬が階段を下りて来ていた。 僕は気づかぬうちに、歩みを止めていたみたいだ。 合瀬は僕のいる所まで来ると、こう言った。 「ところで、原田はもう簡単だろ?」 「絵を描かせればいいだろ。江口さんの横で」 僕がそう言うと、合瀬はにっこりと微笑む。 そして、思いがけないことを言った。 「後は、野中か。オレがどうにかしようか?」 どうにかする。 どうにかするということは、坂木から離すことを言ってるのだろう。 ただ、どうしてそれを合瀬が申し出るのか。 コイツは味方なのか。