僕は江口さんと向き合ったまま原田が現れるのを待った。

カバンを置いているということは、必ず現れてくれるだろう。

さっき買ってきたジュースを一口飲み、何の気なしに江口さんへ渡す。

江口さんは、僕から受け取ったものの、じっと飲み口を見つめたまま動かない。

キスまでしておいて、僕が口をつけた飲み口に、自分の唇をつけることを躊躇しているのだろうか。

まさか、そんなことはないだろう。