「高校はあれなのね。休んだからと言ってプリントとか持ってこないのね」 「持ってくるわけ無いだろ?」 母親の本気か冗談かわからない言葉に、僕は笑いながら答える。 「そうなの? 何だか寂しいわね」 母親はそう言うと、リンゴの皮を新聞紙に包み、ゴミ箱に捨てた。 どうやら本気だったらしい。 (モグモグ……母さん……もしプリントを配る風習があったとして、あなたの息子はそれほど愛されていません。ごめんなさい。シャリシャリ……)