「自分切っちゃうなんて……変……だよね……」
自分で切った?
江口さんが?
何のために?
『ああ、確かに、そいつが自分から切ったぞ。いきなりな』
(は!? じゃあ、あ、あのキスは? あ、あれは、お前だろ!?)
『ああ、アレか。アレはまあ、どちらが早いか、だけの問題だろうな。だがな、アレも、コイツの方からだ。そうじゃなきゃ、それで終わるわけないだろ?』
(…………)
『お前……危ねえもん起しちまったかもな。アレだけで解放したのも、そのせいだ』
(わかった……ありがとう)
『声』が消えると、僕は江口さんの方を向いて、じっと目を見てこう言った。
「ううん。江口さんの気持ち、すごく伝わったんだ、アレで」
『危ねえもん』
『声』はそう言った。
だが、もう引き下がれない。
それに、危険なものであるなら、武器としても最大の効力を発揮するはずだ。


