「あっ! ご、ごめん!」 そう言いながら、江口さんは僕の方に倒れてくる。 全身に柔らかい感触が覆いかぶさる。 心地よい重さだ。 僕は江口さんの背中に腕を回し、ぎゅっと一瞬だけ抱きしめた。 「ん……」 目を瞑っている江口さんの綺麗な横顔を見ている。 太陽に照らされた金色の産毛と、丸っこい小さなかわいい耳も見える。 僕はその耳元に口を寄せてこう言った。 「江口さん、坂木たちに見られたら大変だよ」 「……うん」