「電話してくれればよかったのに」


僕は興奮と動揺を必死に抑えながら、寝ぼけているフリをして、江口さんの髪の毛にそっと触れながら言った。


「うん……何してるのかなあって思って」


心なしか江口さんはゆっくりと返した。

少し、甘えているようにも感じる。

僕は、ふうっと大きく息を吐きながら、綺麗な毛先を触り続けた。


「ねえ……キス……してもいい?」