そんなことを考えているうちに、僕は、ウトウトとしていたらしい。 頬に微かに触れる細い糸のようなものを感じる。 いい匂いもした。 それは、僕の額をサラサラと流れ、いつしか、くすぐったくなり、僕は目を覚ました。 僕の顔をちりちりと気持ちよく照らしていた太陽が翳っている。 光の強さに目が追いつくと、そこには僕を覗き込む江口さんの顔があった。 その瞬間、頭の奥がチクリと痛む。 (わかってる。上手くやる) 僕はそれに心の中で答えながら、江口さんに話しかける。