そうだ。 核のない組織が成り立たなければ、組織のない核は意味を成さない。 ひとつずつ、ひとつずつ、壊してやればいい。 坂木の周りの細胞たちを、ひとつずつ壊してやればいい。 僕はノートを広げる。 白紙のページに、大きく「核」と書いた。 そして、ミトコンドリア以下の細胞たちの名前を書いていく。 ひとつ、ふたつ、みっつ、よっつ。 四個の下等な記号たちが生まれていく。 もちろん、僕にしか判らない記号だ。