「きゃっ!」 手のひらに伝わる柔らかさと、ごつりと指先をはじき返す硬さ。 どうやら僕は矢沢さんの貧弱なものとアバラ骨に触れたらしい。 「ご、ご、ご、ごめんなさい!」 「な、なあんだ、そ、そこにいたの!」 矢沢さんは冷静を装っていたが、かなり声が震えていた。 そして、僕の手にチョコパイを握らせる。 その手のひらは、痩せている割にふっくらとして暖かかった。 それにしても、消灯しているとはいえ、この病室は暗すぎる。