マーブル色の太陽



「寝てるのかな?」


聞こえてきたのは女性の声だった。

その声に恐怖は感じられない。

それでも、布団の中から恐る恐る外を窺うと、隙間から見えたのは、私服姿の矢沢さんだった。


「いえ……まだ、起きてますけど……」


看護師の制服ならまだしも、私服でこの時間に入ってきた矢沢さんの意図が掴めない。

だが、この人は現実に存在する人間であるし、なにより、体が恐怖を感じない。

僕は、とりあえず布団から這い出した。