「おーい!」 遠くで誰かが誰かを呼ぶ声が聞こえる。 女性の声に、一瞬、江口さんの顔が過ぎったが、今日は話す気にはなれなかった。 あんなことをしておいてどうかとは思うが、あの江口さんの変わり方に、僕はしばらく触れないほうがいいような気がしていた。 それに、髪の毛のことも、もう少し様子を見、考えた上で謝ったほうがいいんじゃないかと思っていた。