その時だった。
教室の後ろの引き戸が開く。
姿を見せたのは江口さんだった。
背中まであった髪の毛は肩までの長さになり、白い太ももに目を奪われるほどの短いスカート。
たぶん、ほんのり薄化粧もしている。
ブラウスのボタンは上の何個かは外され、タイも緩やかに締められていた。
教室中がざわつく。
それは普通の子と比べれば、それほど驚くべき変化ではないのかもしれない。
だが、あの大人しく地味な江口さんの変わり方に、女子は驚き、男子は見方を変えた。
髪の毛を切った(はずの)、張本人である僕でさえ驚いた。
しかも、どことなく堂々としているようにも感じた。


