僕は学校の前から出ているバスに揺られながら、江口さんの言動について考えていた。
今まであまり会話すらしたことがなかったのに、ここ最近の距離は近すぎる。
焦った顔、すねたような顔、そして涙。
僕はそれほど彼女に近い人間ではないはずだ。
そういった行動を引き出すほどの距離ではない。
いくら考えても、答えは出なかった。
もし、何かあるとすれば、僕がかけたことになっている電話だ。
『声』は江口さんに何を話し、江口さんの何に触れたのだろう。
僕には到底、想像も出来ない。
『声』に問いかけてはみたが、いつも僕からの問いかけは無視されてしまう。