そんな僕の気持ちに気づかないのか、江口さんは何度も僕を振り返る。
僕も何度も横に並んで歩きたい衝動に駆られる。
でも、ダメだ。
よりによって坂木の彼女に手を出したことにでもなったら、それこそ僕は、この学校にはいられない。
すでにマズイことになっているのは分かっている。
僕ではない僕の『声』により、江口さんはメガネを止めた。
ここで僕が止めなければ、更に制服を短くしたり、髪の毛の色を変えたりするだろう。
みどりの時と一緒なんだ。
僕の意思ではないにしろ、僕がやってしまったことには違いない。
そして、責任が僕にあるのも変わらない。
