「お待ちどおさまあ」 僕は顔を上げる。 夜が迫ってきているせいか、江口さんの顔が暗く霞んで見えた。 それに目を開けていられない。 僕は何度も瞬きをした。 「はい、肉まんです! 私、そこのコンビニの肉まんが一番好きなのです」 江口さんは僕に湯気の立つ肉まんを渡すと、嬉しそうに自分の分に噛みついた。 「江口さん。のぞむくん……というのは、坂木くんのことですか?」 湯気で煙るためか、メガネを外した江口さんがこちらを向く。 やっぱりメガネを外すと、かなりの美形だ。