「どうかしましたか?」 江口さんが心配そうに僕の顔を覗きこんでいた。 「いえ、すみません。少し考え事をしてしまいました」 僕が努めて明るくそう言うと、江口さんの顔はすぐに笑顔に戻った。 「そうなんですか……あっ! ちょっとそこの公園で待っててくださいね!」 江口さんはそう言うと、黒い髪を揺らしながら、コンビニエンスストアへ入っていった。