「じゃあ、呼んでください。まだ校内に居らっしゃるんじゃないですか?」
「だ、だめだ!」
「大きな声を出すと、またあの先生が来ますよ?」
「す、すまん! だが、彼女は……」
「不倫……だからですか?」
「い、いや!」
「お見事ですね。愛する人を守る……。陳腐としか言いようがない」
「…………」
「先生もさっき仰ってたじゃないですか? 悪事を働いたものは罰せられると」
「…………」
「仕方がありませんね。それじゃあ……」
僕がそこまで言った時だった。
ドアをノックする音が聞こえる。
僕の顔を窺う馬場先生にドアを開けるように促す。


