「とりあえず、当事者呼びましょうか?」
僕が馬場先生の釈明を遮り、あくびをしながらそう言うと、馬場先生の顔は引きつった。
きっと、僕がこう言い出すことを恐れていたのかも知れない。
もしかすると、延々と無様に続けていた釈明は、僕にこう言い出させない為の工作だったのかも知れない。
「そ、それは……」
「いや、僕としても加害者ではない人にいくら謝られても。それは違うと思いませんか?」
「…………」
「それとも、呼べない理由でも?」
「…………」
「何なら場所、変えてもいいですよ?」
「い、いや、彼女は……悪くないんだ! オ、オレが……」
「オレが? 何ですか?」
「い、いや……」
馬場先生の釈明とも言えない言い訳が続く。
僕の視界はますます濁り、明暗の区別ぐらいしかできなくなりかけていた。


