マーブル色の太陽


僕の中での江口さんの存在は大きい。

もちろん、数少ない、会話をしてくれる人ということもあるが、純粋に僕は、彼女に好意を抱いていた。

彼女が隣の席で、彼女が学校に来てくれて、彼女が笑ってくれれば、それでいい(たとえ、それが僕に対するものではなくても)。

それだけで、毎朝、玄関を踏みとどまらせようとする自分の足と戦える。

もちろん坂木たちともだ。



江口さんは、普段から僕以外の人とも、あまり喋っているところを見たことがない。

だからといって、僕みたいに友達がいないわけではなく、少数だが特定の人と仲良くする感じだ。

当人同士しか聞こえないくらいの小さな声でお喋りしあい、一緒にくすくすと笑いあっている、そんな大人しいタイプだ。

あまりにも大人しすぎて、僕と喋っても坂木達に攻撃されることはないようだ。

まあ、油断はしていないのだが。