「お前……本当に……はねた車、見てないのか?」 「はい。見てませんけど……」 そこまで答えておいて、僕はこの会話に何か違和感を覚えた。 どうして馬場先生がその事を聞くのだろうか。 普段が普段だけに、妙に引っかかった。 「そうか……」 「はい。警察の方へもそう話したんですが、気づいた時は病院のベッドの上だったんで」 「そうか、そうか」 馬場先生は何故だか少し嬉しそうに繰り返した。 ますますおかしい。