自動販売機の近くに置いておいた缶コーヒーは運よく溢れずにいた。

それを手にとってゴクリと一口飲む羽須美はすぐに顔をしかめた。



「っ、…痛ぇな。しみるったらありゃしねぇ。ロクにコーヒーも飲めねぇじゃねぇーか」



溜め息をひとつ。
したところで。



「なら、やり返せばよかっただろ」


「は……」



いつの間にいたのやら、白衣を着た気ダルそうな少女が自動販売機を挟んで、羽須美とは反対側のフェンスに寄りかかっていた。