微かにバタンとドアの閉まる音が聞こえた。 時計の針は8時半を回ったところだった。 気を紛らわせるために勉強をしていたけど、シャーペンを握る手がピタッと止まってしまった。 どうしよう、どうすればいいの。 ───コンコン きっと、冬哉。 それが分かっていながらも、私は机から動けなかった。 「侑梨?今日は本当に悪かった」 私がドアを開けなくても、話しだした冬哉。 ───悪かったって? 女の人とお出掛けしたことを謝ってるの?